佐藤直曉の著書を解説する「佐藤直曉と読者のサークル」

アプローチ

アプローチ

私がリーダーの指導力についてどういうアプローチをしているかを説明します。少し小難しいとは思いますが読んでみてください。今後は、この内容をかみ砕いて説明していくつもりです。


人を元気にさせるための人間行動分析のコンセプト

人間をはつらつと活動させるために、リーダーは何をすべきか。また、そのために、リーダーは何を学ぶべきか。これが私の研究目的です。そして、私の結論は「人間を理解することがまずなければならない」ということです。

物事を動かしているのは、仕組みであり資金であるわけですが、その背後には人間の動きがあります。これを見極められるかどうかで、ことの成否は随分違ってきます。

私は、この人間を観ることについて長い間研究してきました。その研究成果を時に応じてご紹介しようと思っています。

人を指導する場合であれば、指導される人(部下)のことをよく理解して、その人に適した指導をしなければ効果がないことはいうまでもありません。

このとき、人間を観る能力がリーダーに求められるわけですが、それには相手の行動を分析することが必要になります。

しかし、人間行動の分析ツールもなく、やみくもに行動分析を行おうとしても難しいでしょう。そこで、そのための分析ツールや分析概念、さらには寄ってたつリーダーとしてのあり方を研究する必要があります。

行動分析には�行動観察の技術と、�行動特性の把握に関する技術が必要です。
 
また、指導技術に関しても、いくつか技術が必要です。以下、それを簡単にご紹介しましょう。

 

指導技術としての人間行動分析ツール

1行動観察

メンバーを導いていくためには、彼らがどのような人間であるのかが、わからなければなりません。

そのためには、行動観察が重要になります。しかし、そのためには、観るべきポイントを知っていなければいけません。

行動観察においては、メンバーの行動パターンの把握が特に重要です。これは、彼らが日ごろからとる行動の把握です。

もう一つ重要なのは、異常行動の把握(いつもとは違う行動の把握)です。なぜ、いつもと違う行動をとったかのかを分析すると、いろいろな情報が得られます。

 

2行動特性の把握

次に、行動観察において得られた情報を分析し、相手がどのような人間であるかを分析していきます。

最も重要な分析は、感受性分析です。これは、個人の行動基準、個人の行動価値基準を分析することです。私は、野口晴哉の「体癖論」を参考に、十種類の感受性を用いて分析しています。

もう一つ重要な分析があります。立場の分析です。これは、組織や団体の影響が、個人の人間行動にどう反映されるかを分析することです。人間が「社会的動物」である以上、個人の個性分析だけでは不十分なのです。

 

3指導内容の決定 

リーダーが人を導く上で最も重要な技術とは、認め方の技術であろうと、私は考えております。しかし、それには、これまでに分析した相手の行動特性を考えながら、行わなければなりません。

もう一つ覚えておかなければならないことは、言葉で言っても、なかなかすんなり理解されないということです。そこで、重要になるのが暗示技術です。

これは相手の潜在意識に働きかける、極めて高度な技術です。暗示というと、自己暗示を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、私が対象とするのはあくまで相手にかける暗示技術です。

もうひとつ忘れてはならない重要な技術があります。それは説得の作法です。

いきなり、相手を説得しようとしても、相手は抵抗するだけです。説得の作法は、認め方の技術や暗示技術が働きやすいようにする、準備手段と考えてもよいでしょう。


感受性分析とは

感受性分析というのは、野口晴哉という人物(療術界の天才と言われ、今日の「整体」という言葉を創りあげた人です)が、人間観察から得られた体癖論のことです。 
 
これについては、拙著『リーダーの暗示学』で概要をまとめていますが、とてもこんな程度のものではお伝えきれません。いずれ、機会があれば私が勉強したことを、みなさんにお伝えしたいと思っています。

体癖論では、人間のタイプを十種類に分類しています。腰椎は5つありますが、どの骨に重心がかかりやすい体型をしているかで、人間の性格や姿勢は決まってくるというのが体癖論の骨子です。

腰椎は5つありますが、それに裏表の二種類があって、都合十種類のタイプに分類されるわけです。

野口晴哉という人物は天才としかいいようのない人で、よくこんなことがわかったものだと、体癖論を学ぶたびに思わされます。

この十種類のタイプは、実は色でいえば原色のようなもので、実際には何種類か混じった人がほとんどです。そこで、どの色が特に濃いかを見ていくわけです。

細かいことをここで述べるわけにはいきませんが、極めて大雑把に言うと、腰椎1番のタイプは上下型と呼ばれ、頭脳に影響が出るタイプです。

したがって、理性と強く関係します。またこのタイプはたいへんに毀誉褒貶に敏感だと言われます。

腰椎2番のタイプは左右型と呼ばれ、消化器に影響が出るタイプです。消化器は感情と密接な関係があります。つまり好き嫌いが非常に激しいタイプです。左右型と言われるくらいですから、左右運動がよく出ます。重心が左右どちらかに大きく偏ります。

腰椎3番のタイプは捻れ型と呼ばれます。ここは泌尿器と関係が深く、性格的には闘争心と関係します。腰椎3番は体を捻る運動をつかさどるため、闘争時に人間は体を捻って戦います。ですから、このタイプは負けず嫌いで、何事も勝ち負けで考える傾向が強いのです。

腰椎4番のタイプは開閉型と呼ばれ、ここは生殖器と関連が深いところです。骨盤の開閉運動が得意なタイプで、愛憎に非常に敏感です。

腰椎5番のタイプは前後型と呼ばれ、呼吸器に影響が出るタイプです。前後型ですから、運動特性は体を前傾したり後傾しやすい人がこのタイプです。このタイプは、非常に合理的で、損得勘定がしっかりしています。また打算的な傾向が強いといえます。
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暗示と潜在意識教育について

潜在意識教育も野口晴哉がさかんに唱えていたことです。野口晴哉を野口晴哉たらしめているのは、この潜在意識教育を整体に取り入れているところではないかと、私は思います。

しかし、整体というと、どうしても手技に目が注がれるためか、潜在意識教育を取り入れることはなかなか困難なことのようです。

ことわざで「あつものに懲りてなますを吹く」というものがあります。過去の失敗に懲りて、必要以上に慎重になるということですが、これは潜在意識の働きなのです。

我々の行動は潜在意識に縛られているものがほとんどと言っても過言ではありません。

潜在意識には過去の経験から生じたイメージが蓄積されています。そして、似たような状況が起きると、このイメージが無意識に浮んで、それに合った行動を知らぬうちに人間は取ってしまうのです。

潜在意識教育については、『リーダーの暗示学』で相当丁寧に扱っています。

この本を読めば、部下やメンバーにどのような潜在意識的働きかけをすればよいか、だいたいのことはおわかりいただけると思っています。

なお、ここに出てくる暗示は、自己暗示のことではありません。自己暗示というのは実は比較的簡単なものといえます。たいした技術は必要ありません。

これに対して、私がご紹介しているのは、人に暗示をかけるということですが、この言い方は誤解を与えるかもしれません。

よりわかりやすく言うとすれば、相手の否定的な観念を解いたり壊すことです。これが潜在意識教育の主眼です。あつものに懲りた人に、「もうそんなに神経質にならなくても大丈夫だよ」と教えることです。

ただし、これをふつうに言っても通りません。相手の過去の経験から生じる無意識のイメージを壊さないといけません。理性に働きかけるのではなく、潜在意識に働きかけないと効果は生じないのです。

そのあたりの技術について、私はご紹介したいと思っております。
 
潜在意識教育については、集団に対して働きかけることもあります。人を束ねるべきリーダーには、特に必要な技術です。その手法は拙著『暗示型戦略』に示されています。

統合的なものの見方

リーダーは分析能力が優れているだけでは役にたちません。それは分析屋に任せておけばいいのです。リーダーにはリーダーとしてのものの見方が必要だと私は思っています。それは、物事を統合的に見るということです。

個々の要素が全体としてどうかかわっていて、どの要素を抑えると全体がどう変化するか、といったことをリーダーは理解しなければいけません。
 
これを学ぶのにふさわしいのが、拙著『伝動戦略』です。これはシステム思考を養うための本です。しかも、システムのなかのどのサブシステムを動かせばよいか実践的なヒントが満載されています。

もうひとつは拙著『先見力訓練法』です。これも物事をシステム的にとらえて、外部環境や内部環境の変化によってサブシステムのどこかに異常が生じたとき、それが全体システムにどう影響するか、考察したものです。

先見力というのは、「あるサブシステムの異常が、いつシステム全体に影響を及ぼすかを見極めることである」と、私は定義しています。そのあたりのヒントがいろいろ載っています。

リーダーの条件

さて、最後のリーダーの条件、適格性の問題ですが、これは最新刊の『リーダー感覚――人を指導する喜び』が扱っております。

世間一般でリーダーを選ぶにあたって、リーダーの適格性がはたしてどれくらい真面目に論議されているでしょうか。正直のところ、危うい限りだと私は思っています。

おおかたは「これまで真面目に務めてきているんだから、任せてもまあ大丈夫だろう。やらせてみよう」といった程度ではないでしょうか。

リーダーとして適格でない人がいくらリーダーシップを学んでも、意味がないことは明らかです。私の考えでは、リーダーの適性とは「リーダーをしていることが楽しい」、「人を指導することが楽しく、うれしい」という感覚のことです。

なあんだと思われるかもしれません。でも、これはとても重要なことなのです。リーダーをやっていて楽しくなかったら、なんでリーダーになる必要があるでしょうか。

どんな職業でも、楽しいと思えなかったら長続きしませんし、成功できません。ですから、リーダーとしての適格性を判断するうえで、この感覚があるかどうかは、最良の判断基準になるはずなのです。

『リーダー感覚』では、この「リーダーとしての快」をどうしたら育てられるのか、そのあたりの訓練法をご紹介しようと思っています。

この訓練は、単にリーダーの快を育てるだけではなく、「人を観る目」も育てます。この訓練を行うことは、他のリーダーシップ理論を学ぶとき多大な効果をもたらすというメリットがあります。

次に、リーダーと部下の関係を良好に保つためにはどうすればよいでしょうか。私は三つの条件を考える必要があるだろうと考えています。

第一は、部下に対する理解です。相手のことがわからなければ、よき人間関係をつくるのが難しいのは自明です。

第二は、リーダー自身の人間性や魅力です。

第三は、リーダーと部下の関係のあり方です。

第一の「部下に対する理解」については、先ほど触れた「感受性」を研究していただきたいと思います。

次に、第二の「リーダー自身」の問題です。これには、リーダー自身が自発性をもって行動することや、人をひきつける魅力が必要です。

最後に、第三の「リーダーと部下の関係のあり方」ですが、これについては、部下に対してリーダーはどう向き合うべきか、どのようなスタンスで臨むべきか、といった観点から考える必要があるでしょう。

私が考える「リーダーとしての立場を保つ」条件を列挙してみましょう。

第一は、支配を求めないことです。
第二は、常に部下に自発性を促すことです。
第三は、部下と競争しないことです。
第四は、部下の成長を願えることです。
第五は、人の心がわかることです。




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