先見力訓練法
先見力訓練法
内容紹介動画
NEW 内容紹介動画をアップいたしました。
おおよそのポイントをつかんでいただき、そのあと解説文をお読みくだされば、理解が一層進むと思います。
プレゼンの時間は約22分です。
本書はシステム的アプローチ採用している
◆システム的アプローチとは?
本書の目的は、先見力を強化するために必要となる基本的な考え方と、その訓練法を紹介することです。そして、本書の根幹にある考え方は、物事をシステム的に捉えるということです。それが先見力と密接に関係していることを説明いたしましょう。
システムは、いくつかのサブシステムから構成されています。そして、サブシステム間の相互作用が、そのシステムの特徴を表す。例えば、家族であれば、父親、母親、子供、祖父母、といったサブシステムがあるわけです。そして、それぞれの人間関係が家族全体の特徴となるわけです。
私が考えている先見力というのは、このシステムの構成要素、あるいはサブシステムに何か変化がないかを観察することから把握されます。
もし、この家族が地方に住んでいて、子供が大学受験生であったとします。すると近々受験して合格すれば東京で一人住まいをするようになるかもしれません。こうなると、家族というシステムは大きな変化に見舞われます。
ですから、個々のシステムの要素が将来どのような変化を起こしそうか、あるいは今変化を起こしつつあるかを観察すれば、システムの動作を予測するのは比較的簡単なはずです。
今のは家族を例にとりあげたわけですが、現実にはいろいろなシステムがあります。企業というシステム、社会というシステム、国家という国際関係の中のシステム。いずれにしろ、システム的な見方をしていくと、物事の変化が非常によく予測できるようになります。
本書は、いろいろな事例を紹介しています。是非、ご一読頂き、お仕事にご活用いただければと思います。
◆システムが変化していくプロセスを見抜く
ここで、一般的に見受けられる体制(システム)変化を比喩的に見ていきたいと思います。今しばらくの間、読者は自分が「変化」という名の海に浮かぶ小船だと想像していただきたい。
この変化という名の海には、二つの潮流があります。一つは深層の潮流であり、他の一つは表層の潮流です。深層の流れはゆるやかで、長期間、一定の方向に流れていきます。深いところを流れているため、小船がその流れを感じ取るのは少し難しいのです。
一方、表層の流れは敏捷ですばやく、自由が利きます。そのぶん、気まぐれでもある。手近にある表層の流れは、小船にとってずっと簡単に感じ取ることができます。
あまり気づかれていないのですが、深層の力は表層の力よりずっと強いものです。深層と表層の潮流が相互に作用しあい、波をかきたて、小船をもてあそぶ。
変化は深層の流れが変わることから始まります。ある日突然、方向が変わります。しかし、微細な深層の変化に、表層の流れは初めはほとんど反応しません。
それでも、やがては表層にもかすかな動きが見え始める。これが兆しです。だが、たとえ新しい流れが生まれようと、それまでの流れがすぐに消えてしまうわけではありません。長い目で見れば、表層の動きは深層に従うように運命付けられているのですが、ある期間、宿命に逆らって自由な意志をもつことが許されているといえます。
そのため、流れに乱れが生じ、波紋が生まれ、さざ波や波頭が立つのです。ついには、あちこちに渦が巻きだすまでになります。こうして、しばらくの間、渦は対立というドラマを書き上げる焦点となります。
対立は新しい流れを受け入れようとする船と、拒絶する船との間で起きる。初期の段階では、古い流れに乗る船が圧倒的に優勢ですが、時間がたつにしたがい、力関係は変化していきます。
流れを呼び込むために、多くの仲間を集めたり、武力を用いたりする船さえでてきます。こうして船団システムが形成されていくのです。にもかかわらず、最後の勝利はまったく別のところで決まる。皮肉です。結局は、渦を制する流れに乗っていた船が勝つのです。たまたまその流れにかなった船が、渦に勢いづけられ、高速で巡航していくのです。
不幸なことに、すべての流れにかなった器用な船など、まず存在しません。たとえ勝利を得た船ですら、流れが変われば、また別の船に航路を譲らなければならないのです。輝きは一瞬です。
流れが船を選び、流れが船を見捨てていく。対立とは、時代が流れにかなう船を選ぶための、非常な作業の一部なのかもしれません。
やがて、さしもの激しい渦もおさまり、静かな海が戻ってきます。怨念と憎しみだけがのさばる醜い対立は、深い海に沈められ、忘れられていきます。長い間待ちわびていた、深層の流れに調和する時代がようやくやってくるのです。新しい時代の始まりです。
サブシステムの変化をいかに見極めるか?
◆四つのキーワード
サブシステムの変化を見極めるためには、いくつかのポイントがあります。本書では、四つのキーワードで示しています。
第一は、兆しというものを理解し、活用することです。兆しとは、深層の流れの影響が、表面に垣間見えた瞬間といえるでしょう。あるいは、社会的システムが感知する、深層潮流と表層潮流との不調和ともいえます。
二つの流れを確実に認識することと、両者の距離を正確に把握することが、先見力を得るうえで重要な問題になる。兆しはこれについて重要な示唆を与えるのです。
本書では、非常に長い時間に生じた兆しとして、江戸時代における欧米列強の沿岸出没事例を取り上げています。百年近くにわたって、ロシア、イギリス、オランダ、アメリカなどが日本の海岸近くに表れています。兆しは明らかだったにもかかわらず、幕府は海防対策についてほとんど何もしませんでした。
もう一つの事例として、90年代における大蔵省の考えられないようなミスを取り上げました。90年代は大蔵省にとって失敗の連続でした。80年代後半には、すでに兆しが現れていたにもかかわらず、大蔵省はほとんど無警戒でした。
兆しというのは、あとから考えれば、「あれがそうだったのか」と誰にもわかります。しかし、今現在となると、それを把握するのは難しい面があります。そのあたりの考え方について、本書では説明をしております。
さて、本書のキーワードの第二は、対立の分析です。社会的システムでは、深層潮流と表層潮流の乖離が大きくなるにつれ、厳しい対立が生じます。したがって、対立の行方が理解できれば、システムが目指している方向を読むことが可能になるわけです。
そのためには、対立がいかなる作用によって生じ、それがどのように成長していき、どのような形で帰結するのかを推理しなければなりません。対立にはいくつかのパターンがありますから、それを頭に入れておけば、対立を占う際、よきメルクマールとなるでしょう。本書では、二極対立、三極対立、マルチ対立について、事例をあげながら説明しています。
キーワードの第三は、社会的システムの形態変化を研究することです。社会的システムのアウトプットに変化が生じる場合、システム内部で何らかの変化が生じていることが多いのです。
そこで、システム内部の変動パターンを研究し、それらとアウトプットとの関係をあらかじめ検討しておけば、いざというときの参考になるはずです。
この部分は、最もシステム的な思考と関係が深い部分です。サブシステムが内外の環境によって変化をこうむる状況をいろいろな事例で説明しています。
たとえば、サブシステムが極端にシステム内で突出した存在になると、必ずバッシングが起きます。これは会社のなかで目立ちすぎる人間だけでなく、社会の中で目立ちすぎる国家も同じことなのです。
サブシステムが傷つけば、当然のごとく全体システムに影響が出ます。たとえば、家族で一人寝たきりの人が出れば、家族全体の生活に大きな影響が出ます。企業でも、ある事業部の業績が下降してしまうと、ほかの儲かっている事業にも何かと影響が生じ、会社全体のパフォーマンスに影響が出ます。
こういうことは、よく考えれば常識なのですが、それをまとめているところが本書の優れているところです、と自慢させてください。
第四は、対象となる社会的システムにかかわる人間行動の分析です。これは人間心理の分野と関係します。この点を考察しているところが、他の人たちと私が圧倒的に違うところと言えるでしょう。
社会的システムが変化するということは、関係者の行動が変化することです。システムや仕組みと言っても、結局は人間が動かしているのです。究極的には、人間を見れば、先が読めるはずなのです。変化を受け入れるときの人間行動や、変化をかたくなに拒む人間行動が、どのような結果をもたらすのか、正確に見通すことが必要となるわけですが、それには人間を観る目が必要です。
「人間を観る目を養おう」というのが、私のすべての著書に共通したメッセージです。
目次
| 目次一覧 | |
|---|---|
| はじめに | |
| 第一章 兆し | 1兆しを認識する 異常を察知する能力を高める アマチュアからプロへ 平均値との乖離 トレンドとの乖離 心理的基準 間接的な異常認知の方法 兆しの発見 ケーススタディ――列強の接近と江戸幕府の開国 2兆しから深層潮流を探る 仮説を構築する能力を高める 三手の読み チャートを読む ケーススタディ――大蔵省の後退 |
第二章 対立の構図 | 1対立の形成を判断する 誰が深層潮流に乗っているのか 対立の構造を探る 対立エネルギーの供給源を読む 持久力に対する攪乱要因 エラー ケーススタディ――開国派対攘夷派の対立 2多極対立の構図 三極対立の構図 三国志の世界 擬似三極構造 現代の三極構造 対立極の数が多い場合 ヨーロッパにおける多極対立 サブシステムの突出 対立の解消 |
| 第三章 システムの形態変化 | 1サブシステムの突出 サブシステム突出の意義 成長速度の大きいものを把握する 加速度のおおきいもの、小さいものも危険だ 2サブシステムの廃棄 資源の集中 重要な資源の廃棄がもたらす影響 権限の喪失に対する反発 3サブシステムの転用 故きを温ねて新きを知る 権力・権限の分離と多層構造 4サブシステムの代替 新旧交代 人間の交代 5サブシステムの追加・獲得 ミッシングリンクの欠陥 冗長な組織 6外部システムとの新しい関係樹立 関係樹立の条件 関係の変化 提携の意図を確認する 7システムの崩壊と新システムの誕生 社会的システムの死活 システムの崩壊過程 辺境の価値 8クラッシュ クラッシュと経済 関東大震災と阪神大震災 地震と政治的安定 |
| 第四章 先見力を妨げる心理的要因 | 1心理的障壁 固定観念 現在の状態が続くという錯覚 希望的観測 イデオロギー ルールへの思い入れ 2価値観に対する無理解 価値観の違いを理解する 人間の行動には主観的な価値観が反映されている 価値観の種類 他人の価値観を客観的に見られない罪 相手の価値観を中心にして先を読め 3人間の行動原則を順守しない罪 自発性の原則 承認の原則 感応の原則 |
| 第五章 先見力強化トレーニング | 1先見力に関する諸注意 長期と短期の読みの違い 対処が難しいものほど読みは当たる 2先見力を強化するためのトレーニング サブシステムの突出を発見する 微細な変化を認識する 大きな流れを把握する 波及効果を予測する 人間行動を把握する |
| あとがき | |
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